川嶋先生の「からだにいいころ」「温活」プロジェクト ー 服は“上を薄く下を厚く”お腹・太腿を重点的に
体温を逃がさないためには、衣服などでの外側からの温めがカギ。ポイントになる部分を
温めれば、末端まで効率的に温かい血液が巡る――。体の仕組みを上手に利用して。
川嶋朗先生
東京女子医科大学附属青山自然医療研究所クリニック所長。東京女子医科大学内科在勤中に、ハーバード大学医学部マサチューセッツ総合病院留学。北海道大学医学部在学中に東洋医学研究会を創設し、現在も近代西洋医学と代替・相補・伝統医療を統合した医療をめざしている。
「下半身は心臓から遠いため、血巡りが悪くなり冷えやすい場所。昔から、"上半身より下半身を重点的に温めなさい"というのが、養生法の教えです」
と川嶋朗先生は話します。とくに温活効果の高い場所は、お腹と太腿とか。
「気温が下がると、大事な臓器を守ろうとして抹消の血管を収縮させてお腹に血液が集中します。その結果、末端の手足を中心に血巡りが悪くなります。お腹を温めることは、血巡りを改善させ、冷えの解消につながるのです。また、太腿は下半身で一番血流の多い場所。全身を効率よく温めるための要衝です」
寒いからといって、漫然と厚着をすればよいというわけではありません。下に温活ポイントを示してありますが、血流の多い場所を極力冷やさないようにすることが大事なのです。また、体を締めつけるような衣服は、血流を阻害。逆に冷えの原因になってしまうので、注意しましょう。そして、もうひとつ。
「現代人に多いストレス冷え対策には、副交感神経を刺激して緊張した血管をリラックスさせることが大切です。腰の仙骨、首、目などを温めると収縮した血管が開いて、血流がよくなりますよ」
最強の温活アイテムは湯たんぽ
65℃のお湯を2リットル入れた湯たんぽの熱カロリーは、カイロの100倍に匹敵。徐々に温度が下がっていきますが、じつはその時に熱量が体にたくわえられるのです。また、湯たんぽは動かせることも、大きな利点。「同じ場所をずっと温めて熱くなり過ぎると汗をかいてしまい、逆に体温が下がってしまうのです。立ち仕事の人はカイロなどを利用するしかないでしょうが、デスクワークの人は、湯たんぽを膝の上に置き、ときどき移動させるとよいでしょう」(川嶋先生)
ホットドリンクが入っていたペットボトルなら、耐熱性があり、40℃くらいまでのお湯を入れても大丈夫です。さらにお湯で濡らして絞ったタオルを巻きつけ、ビニール袋に入れて使いましょう。パソコン作業中、ときどき目にあてると疲れも改善できます。
靴下を重ねばきすると、温かい空気の層ができます。枚数が多いほど効果的ですが、靴下をはいた上から爪先にアルミ箔を巻き、さらにもう1足靴下をはくだけでも、重ねばき効果はアップ。一番下には指先を締めつけない5本指靴下がおススメ。
不織布タイプのクッキングペーパーは空気層が厚く、保温力あり。インナーの重ね着でごわつくのが嫌なら、二の腕、太腿だけをクッキングペーパーで巻いておく方法をおすすめします。肌触りもよく、タイトな服にも響かず、汗も吸い取ってくれます。
温活で日常的に使ってほしいのが、使い捨てカイロ。とくに、服の上からおへその下、仙骨を中心とする腰やお尻、肩甲骨の間に貼ると、体温が下がるのを防げ、体調もアップ。ただし、貼るタイプは移動できないので、低温やけどには注意して。